映画セッションのラスト9分ネタバレ!監督が込めた想いとは?

ジャズファンだけでなく、映画ファンも魅了する映画セッションだが、ラスト9分が特に素晴らしいとの評価が多く集まっている。

今回はラスト9分について解説していこうと思う。

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見出し①ラスト9分のネタバレ解説

一見すると、3曲のコンサートのドラムソロからの素晴らしいエンディング!! お、良さそうだなと期待しながら本編を最初から観ていくと、、、名門音楽院に念願叶って入学した1年生ドラマーのアンドリューは、鬼のように厳しい指導をする教授のフレッチャーの厳格な指導についていけず退学する。

しかし、その原因になったコンサートからわずか半年足らずで、街中で偶然フレッチャーがピアノでゲスト出演しているライヴを観に行く。

終演後、その張本人のフレッチャーが指揮するプロのバンドのバックで2曲だけ叩けと、出演を命じられる。依頼から2週間後、本番のJVCフェスティバルのステージに立つアンドリュー。いざ本番がスタートすると、コンサートの最初の曲は、全く事前に知らされていない曲!

しかし、自分以外は全員知っていた。当然ミスを連発し、一旦はステージを降り、観に来ていた父親に「帰ろう」と慰められる。

しかしアンドリューはステージに戻り、逆に、かつて教授に散々しごかれながらマスターし、今回も演奏すると予告され、準備してきていたスタンダード曲”キャラバン”を、フレッチャーの指揮を無視し、いきなりスタートさせる。

そしてラストは、怒涛のドラムソロ!激怒していたフレッチャーも、最後には彼のリズムに説き伏せられたように曲を締めくくる。お互い、求めていたものをやっと見つけたような、晴れやかなアイコンタクトを瞬時に交わし、終演!

というような話がラスト9分だ。

なぜここに評価が集まったのかというと、散々フレッチャーにコテンパンにされていたアンドリューが「認められた瞬間」だからだと思う。

正直、あまりにもスパルタすぎて最後までずっとブチギレるような展開かと思っていたが、最後の最後でアンドリューを認めたという飴と鞭の「飴」が映画ファンにはグッときたのかもしれない。

 

見出し②映画を観た感想

バンドをやったことがある人は、もしくは何かに本気で取り組んだ経験がある人は、より気持ちの深いところで、スタジオでのアンドリューへのフレッチャーの壮絶な仕打ちと、それに屈しなかったアンドリューの音楽に向かう気持ちに、まず心を打たれるだろう。

はっきり言うとフレッチャー教授、正直言って、アンドリューに目をかけてるんだか、生徒を罵倒することを自身のストレスの捌け口にしてるのか、「どSな気分屋」としか言えないような指導ぶり。

確かに上手くなるかもしれない。彼の音楽的な地図を全て理解している生徒にとっては。しかし、気軽に音楽を趣味程度に勉強して、度胸試しにコンサートに出てみようか?というサークル活動感覚で入学した生徒は、メンタルに酷くダメージを受けて挫折するだろうし、彼についていけるのは、彼自身が全パートをこなしたバンドか(つまり、無理!)彼が理想とするジャズの偉人たちだけだと感じた。

そんな彼から「目をかけられた」と有頂天になり、折角出来たばかりの彼女に「音楽に集中したい」とサヨナラを告げ、日常を全て、手のひらの血豆がさらに潰れるほどリハーサルに注ぎ込み、コンテスト会場に向かう途中で交通事故に遭っても、血まみれでコンテストの会場に辿り着き、死にそうになりながらも本番に臨んで、見かねて演奏をストップさせたフレッチャーに殴りかかったアンドリュー。

そんな彼には、自分自身のまさか思い出すとは思っていなかったさまざまな人生の色々な場面が、瞬時に脳裏に浮かび、凄まじく気持ちを揺さぶられた。

音楽がなっていない時は、まさに「水と油」で全く相入れないアンドリューとフレッチャーが、再び一緒に演奏したコンサートの最後の曲の中で、ようやく自分たちが夢見た以上の演奏をその場で披露できた、というところが、最大の救いになっていると感じた。

そして、この瞬間を永遠に残したくて監督は、この映画を作ったんだろうな、というのが強烈に感じられた。このテーマは音楽の本質を、つまり人生の本質をも掴むことに見事にやってのけている。ブラボー!

 

監督デイミアンチャゼルについて

監督のディミアン・チャゼルは 、「セッション」が 自身が一から書き上げた脚本で作った、最初の映画だった。

何とか映画化に こぎつけようと いくつかの映画の脚本を書きながら、チャンスを探していた。2012年に、未映画化の脚本の中で、特に優れた脚本のリスト、通称ブラックリストに掲載され、ようやく映画化にこぎつけた。

ディミアン自身も、高校でジャズドラマーを志し、その時、厳格な音楽教師から、猛烈なシゴキを受けた経験が、この「セッション」を制作する最大の動機になった、と後に語っている。

ミュージシャンを辞めた後、ハーバード大学で映画を学び、「セッション」での成功を ようやく手にした。この成功を受けて、彼は、2016年、「ラ・ラ ・ランド」の製作で注目を集め、アカデミー、ゴールデングローブ賞レースを総なめにする成功を手にした。

2018年現在の最新作は、再びライアン・ゴズリングとタッグを組んだ、ニール・アームストロングの伝記映画「ファーストマン」。

今後も幾つかの新作が予定されている、今旬の映画監督なのである。